満月の夜

だから私は言ったのだ
「言葉にすれば飲み込まれ」
「いつしか本当など分からなくなるのに」と

確かに幸せだったのだ
無邪気な微笑み、
気付けば見つめ焦がれていたあの日までは

些細なやりとり
幾つかの飴玉
喉の奥の熱情を隠すように
痛くも痒くもないふりをして、

押し殺した想い
もう諦めてみようか
ほら


満月よ、赤い糸をください