向日葵

まだ少し大きい麦藁帽子
白いサンダルを弾ませる
今年もあたしは夏に連れられて
君が待つ場所へと上る坂道

二人乗り自転車 結局言えないまま
どうして笑顔で別れられたんだろうね?

いつの間にか あたしを追い越して
見下ろしてくる瞳を諦めるなんてできない
でも君は頭上の花園に咲く
眩しいひとだけに
向かっていた

流れてくる潮の匂い しょっぱくて目を擦った

夢を語り合った浜辺の音
耳の中で君の声と共に響く
あの夏からもうどれくらいかな
逞しい背中にふとそう思う

昔のようには繋げないてのひらの距離
何ひとつ変わらないはずだったのにね?

背伸びをしてる あたしの隣には
どこか遠くに恋焦がれる大人の君が居て
「こっちを見てよ」という度
笑いかける表情に
幼さを恨んだ

別に悲しくもないけど 夕日が滲んで見えない

まだ少し大きい麦藁帽子
寝息をたてる君にそっとかぶせて
坂道を下りてゆく